昭和初期の北海道開拓暮らしを描いた今野保の2冊「アラシ」「秘境釣行記」

北海道生活

今回も私が北海道関連の本集めを趣味にしていたときに読んだ本から、かなりレアと思われる2冊を紹介します。

2冊とも今野保さんという方が書いた作品で、舞台はもちろん北海道です。

明治の終わり頃から昭和初期にかけての話で、自然を相手に今でいうサバイバル的生活をしていた時のことがつづれられいます。

当時の暮らしぶりが伝わってくる、なかなか興味深い話です。

 

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昭和初期の北海道が舞台「アラシ―奥地に生きた犬と人間の物語」

まずは「アラシ―奥地に生きた犬と人間の物語」、嵐というのは飼っていた犬の名前です。

大正から昭和にかけて北海道で製炭業を営んでいた著者の家庭で、少年時代に一緒に暮らしていた犬の愛情と信頼の絆を綴った全4編の物語です。

 

明治時代に入り本格的に北海道の開拓が始まり、日本各地から様々な人が入植してきました。

その当時の生活はとても厳しく家族を養うだけで大変でしたが、そんなときでも犬は切っても切り離せない大事なパートナーで、大事に扱われていたようです。

 

幼い少年が川に溺れたのを助け上げた「クロ」、

吹雪の中遭難しかけた少年を救い出したり、人間を襲う野犬を追い払い、飼い主に忠実に従った「アラシ」、

ヒグマに食い殺されたアイヌの娘の敵討ちを見事に果たした「タキ」、

猟犬として活躍しヒグマとも勇敢に戦い、土佐犬をも倒す能力を持ちながら、人に忠実でもあった「ノンコ」、

それぞれの犬の人との絆と野生の本能がダイナミックに描かれています。

 

かなり昔に読んだのですがとても面白い本で、犬の本来持つ能力や忠実さに改めて感心しました。

最近の犬は家族の一員として飼われております、どちらかというと過保護な感じがしなくもありません。

しかしこの本に出てくる犬は、鎖につながれることはなく放し飼いされ、勝手に小屋から離れても誰も気に留めず、時間通りになればしっかり戻ってきます。

そして、野生としての本能を如何なく発揮し、その活躍にわくわくしながらページをめくりました。

登場する4頭はとても生き生きしており、人に拘束された感はありません。

本来はこれが犬としての理想の姿ではないか思うくらいです。

現在では、さすがにこの本のように放し飼いにするなど難しいとは思いますが、古き良き時代の話として読むと面白く感じられるでしょう。

 

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北海道の奥地で繰り広げられた「秘境釣行記」

もう1冊はタイトル通り、釣りの話です。

明治の終わりから昭和初期にかけて、原生のままの風景が残っていた北海道が舞台、日高山脈近辺を中心に釣りに明け暮れた思い出話です。

北海道は自然の宝庫と言われていますが、それでも昔に比べると失われた風景は多くなっております。

特に河川については、殆どの場所でダムが作られており、明治以前の姿をとどめているのは数えるほどしかないそうです。

 

この本が出た当時はこんな感じで紹介されていました。

川面を覆う鱒の影、行く手を遮る鹿の大群、獲物を窺うヒグマの親子、小屋を襲う鉄砲水…。原生林が息づく北の奥地に、多彩な自然の営みと心暖まる人びとの 交流がみられた時代。
北海道日高山脈の山懐、染退川源流を遡上し、イワナやヤマベを釣り暮らして若き日々の想い出を語ります。

 

釣りの話ではありますが、現在の趣味でやる釣りと違い、食糧確保が目的ですので、家族総出で遠出をするほどの大掛かりなものです。

(とはいえ、ちょっとした旅行の要素も入っていたので、著者は毎年楽しみにしていたそうです)。

そして、釣り上げる数が桁違い!

1日で1人150匹前後釣り上げるのですから、只只唖然としてしまいます。

釣りの技術な腕前については、私自身あまりよくわかりませんでしたが、これを釣り好きの方が読んだら、どんな感想を持つのかは、何となく興味があります。

 

話自体は当時の状況が伝わってはくるのですが、先ほど取り上げた「アラシ」に比べるとのんびりした感じで、ワクワク感は少なめでした。

それでも、当時の北海道の姿を知るには最適な1冊と思います。

 

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今回取り上げた2冊はいずれも戦前の話ですが、古き良き北海道が描かれたノンフィクションでした。

有名な作家ではないし、かなりローカルな内容ではありますが、読みにくいということはなく、普通に面白く読むことができました。

もしかすると中古でも手に入れるのは難しいかもしれませんが、もし見かけたら目を通してみるといいかもしれません。