佐藤泰志の函館を舞台にしたもう1つの作品「そこのみにて光輝く」のレビュー

北海道生活

私が佐藤泰志という作家を知ったきっかけは、全く思い出せないのですが、おそらく何かの偶然だったと思います。

出身地である函館を舞台にした「海炭市叙景」という作品が有名で、その他にも作品をいくつか出し、芥川賞候補に取り上げられたこともありました。

しかし、1990年に自らの命を絶ち、その後は徐々に忘れさらつつありました。

 

その後、何かのきっかけで佐藤の小説が再評価され、何作かは映画化されたりしました。

今回はそのうちの1つ「そこのみにて光輝く」について取り上げます。

 

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佐藤泰志の「そこのみにて光輝く」とはどんな作品

以前、『地域ブランドNo.1函館の脳裏に浮かぶ「海炭市叙景」の寂れたイメージ』という記事で佐藤泰志の代表作について取り上げらたことがあります。

一言で言うと、暗くジメジメし ているのですが、そんな中でも人間描写がしっかりとしており、不思議と引き込まれていきます。

 

「そこのみにて光輝く」も同じく函館を舞台にした作品です。

(ただし、本文中では函館とは明確に語っていない)

概要については次のように説明されています。

北の夏、海辺の街で男はバラックにすむ女に出会った。男が女に惹かれ、女がもつ過去をすべて受け入れ一緒になったのはなぜか。そして男は尚も茨の道を歩もうとしている。

実際に読んでみると、出てくる人物はみんな訳ありで、それぞれに抱えているものが重くのしかかっています。

それを佐藤泰志の独特の文章で語られ、その世界に引き込まれていきます。

 

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「そこのみにて光輝く」のレビュー

実際に「そこのみにて光輝く」を読むと「海炭市叙景」と同じく、やはり何故だか物悲しいストーリーです。

この作品に出てくる人物は、皆が今後もこのまま生きていくのがよいのかどうか思い悩んでいるおり、その姿がトツトツと描かれています。

読んでいる最中は心が重く、どんよりした気分が付きまとわれますが、途中で嫌になり読むのをやめようとは思うことありません。

むしろ不思議と物語の世界に引きこまれます。

 

特に何か急展開があるわけではなく多少モヤっとして読み終わりましたが、、登場人物たちが、不遇の中でも前を向こうとする姿に心を打たれました。

北の寂しい海峡が見える港町、何か夢や希望に向かって生きていくといったわけではなく、街を離れずに何となく生きている様を描いているストーリーです。

特に何か野望を持っているわけでもなく、その日をなんとなく生きている。

実際にこういう生き方もあるのかとしれないと、何となく共感してしまう部分もありました。

 

壮大な起承転結がある話ではありませんが、逆に毎日生きていくことってなんだろうと考えさせられることは多いかもしれません。

特に30後半をすぎてから、将来の見通しが見えてくると、色々と感じることはあるかもしれません。

 

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「そこのみにて光輝く」は映画化もされている

余談ですが「そこのみにて光輝く」は映画化されておりDVDも発売されております。

主演は綾野剛さん。

イメージ的にあっていますね。

なんとなく退廃的な雰囲気をうまく演じていそうな気がします。

 

私はまだ見たことがないのですが、どれだけ原作に忠実に再現されているか気になるところです。

本が苦手なら、これをみるのもありかもしれません。