寺田倉庫。
東京の天王洲アイルに本社を構え、名前の通り倉庫事業を営んでおりますが、最近んではアート事業に力を入れており、さまざまなイベントなどにも参加しております。
そのため、本業よりも文化芸術事業でその名前を知っているというケースも多いかもしれません。
ところで2019年まで寺田倉庫で社長をしていた中野善壽氏という人物がいるのですが、何も持たないことをポリシーとし、いわゆるミニマミリストみたいな生活をしていることで、業界では有名です。
あまり公の場に出てこないため、謎の人とされていたのですが、最近になり中野氏の生き方などを語った本が出版されました。
どんなことが書いてあるのかと期待し、実際に読んでみました。
今回は、中野善壽氏の初の著書「ぜんぶ、捨てれば」についてのレビューについて書きました。
中野善壽「ぜんぶ、捨てれば」のブックレビュー
まず、この本についての中身を取り上げる前に、著者である中野善壽氏について簡単にプロフィールを紹介しましょう。
- 氏名:中野善壽(なかのよしひさ)
- 生年:1944年
- 略歴:
大学卒業後、伊勢丹に入社。その後鈴屋へ転職し代表取締役専務就任。
その後1997年台湾へ渡り、現地の百貨店などで代表やCOO等を歴任。
日本に戻り、2011年寺田倉庫株式会社入社、2012年代表取締役社長就任。
2019年に退社後、現在は東方文化支援財団を設立し代表理事に就任。
詳しい経歴や、なぜ寺田倉庫に入社したのかなどについては本書でも詳しく語られております。
本書で著者の中野氏がポリシーとしているのは、タイトルにも通じる「何も持たない」ことです。
家や車、時計は持たず、酒やタバコもやらない。
お金も昔から生活に必要を除き全て寄付しているという。
何も持たないことで、過去に縛られず、未来に悩まず、今日を大切に生きることができる。
中野さんはとにかく物を所有することを望んでいません。
土地や家を持たなければ煩雑な手続きもいらないし、災害での心配も1つ減る。
持ち歩くものも小さなカバン1つだけ。
その中に下着類、タブレット、メガネ、携帯電話、財布、手帳くらい。
服は現地で調達します。
とにかく身軽でいることが心地よいと。
持たないのは物だけではありません。
スケジュールもできるだけ空白にして、何もしない時間を作る。
仕事上の人間関係や飲み会も不要。
とにかく生き方全般で、不必要な物はぜんぶ捨て、フットワークを軽くする。
その徹底ぶりはすごいです。
この本を読み進めていくと、細かいことに悩んでいるのが馬鹿馬鹿しくなってしまうくらいです。
この本を読んで、中野さんをミニマリストとかシンプリストという括りで説明するのは、なんだか失礼になってしまうくらい、とても身軽で自由に動き回っている方です。
自分が小手先でミニマリストがなんだかんだと書いたり話したりしているのが馬鹿馬鹿しくなるくらい、身の回りはこざっぱりしており、発想もとても柔軟です。
自分がこういう境地になれるかどうかは別として、個をしっかりと持つ生き方は参考にしたいです。
身の回りだけでなく大局的に「シンプル」な生き方を目指す
中野さんが寺田倉庫の社長をしていたこともあり、本書ではビジネスでどのように考え実践しているのかということについても語られています。
報連相や企画書なんて無駄、必要なのは結果のみ。
失敗を恐れるな、新しいことにチャレンジしてダメだったらしょうがない。
などなど、なかなか大胆な発想で仕事について語っております。
実際に読んですくできるかと言えば、社内のしがらみ等々あるので、そう簡単ではないでしょうけど、もっと気楽に考えて良いというのは救いになりそうです。
中野さんは現在76歳ですが、若い当時からこういう考えて動いていたとしたら、当時はすごく衝突もしたことでしょう。
それでもポリシーを変えずここまでになったのはすごいとしか言いようがありせん。
私は中野さんの持たないポリシーがどんなものか興味があり読んでみたのですが、それ以外の部分でもためになる事が多くありました。
単に持つ持たないだけでなく、もっと物事を大局的(広く)に眺め、自分に必要なものを見極め、今後生きていけたら良いなと感じました。
ミニマリスト云々関係なく、読んでみると何か面白いことを見つけられるかもしれませんので、何かしら興味があれば目を通してみると良いかもしれません。
現在は対象外ですが、期間限定でAmazonのKindleUnlimitedに入ってることもありますので、無料期間であれば試し読みしてみるのもいいかもしれません。