すすきのの生き字引と言われた八柳鐵郎さんの著書を紹介します

北海道生活

今回も過去に読んでいた本のレビューを整理していて見つけた興味深い本から、すすきのの生き字引と言われた八柳鐵郎さんの著書を取り上げます。

こちらも趣味で集めて読んでいた北海道の関連本を探していたときに見つけました。

かつて、すすきのにあった大型キャバレー「エンペラー」の有名なマネージャーで、自分の周りであった出来事などを綴ったエッセイを残しています。

夜の世界で繰り広げられるリアルなやり取りや、水商売で働く人々の生々しい人間模様が描かれていて、非常に興味深いものでした。

 

今回は実際に私が読んだ八柳鐵郎さんの著書から4冊取り上げます。

 

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八柳鐵郎著書その1「すすきの恋唄」

1冊目は「すすきの恋唄」です。

「財界さっぽろ」という雑誌に連載されていたエッセイをまとめられた本です。

 

本書では著者の幼少時代のことから始まり、帯広、釧路、そして東京で仕事をしていたころの話、札幌での(連載当時の)生活をしている中での出来事など、を中心に書かれております。

中の構成は、連載されていた順番なのか時系列で並んでおりませんが、それでも1つ1つが読み物として面白く、八柳さんが歩んできた波乱万丈の人生を読み取ることが出来ます。

樺太で生まれ、戦後新潟へ渡り、そこで受けた差別、北海道へ渡り帯広や釧路での貧乏生活、そこから夜の世界へ足を踏み入れ、やがてはすすきので大型キャバレーのマネージャーへ。

そこに至るまでの道のりは大変だったと思うのですが、本書ではあまりそのようは悲壮感が漂う気配がなく、よき思い出のごとく描かれています。

ようやくここまできて、じっくりと構えることが出来る余裕すら伺えます。

 

また、すすきのを中心に著者の周りで起こる様々な出来事も、ユーモアを交えて書かれており、思わず笑ってしまった話もありました。

中には悲惨な話やほろっとする話も混じっており、本全体のメリハリがついております。

良くも悪くも著者の人間味がとても感じらた1冊でした。

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八柳鐵郎著書その2「酒場稼業40年 薄野まで」

2冊目は「酒場稼業40年 薄野まで」です。

 

八柳さんのエッセイは自身の経験した話や、夜の世界に身をおいた女性のことについて語っていることが多いのですが、本書では、それらの内容に加えて、珍しく有名人の話が出てきております。

出てくるのは鶴田浩二さん、北島三郎さん、三浦綾子さん。

鶴田さんと北島さんはなんとなくわかるのですが、まさかキャバレーとは縁遠いような三浦さんは意外です。

 

中でも北島三郎さんのエピソードはとても面白くかったです。

北島さんもキャバレーで流しをやっていた経験があるので、お客さんをもりあげるのが上手、長年人気を保っているのもうなずけるような内容でした。

 

三浦綾子さんはなんと本書の序文を書いており、八柳さんのことを「夜の牧師」と名づけております。

わずか4ページほどの長さなのですが、これだけで八柳さんがどのような人であるのかが明確に描かれており、ある種の感動さえ覚えました。

 

最初の序文だけでも読む価値がありますが、ぜひとも一通り目を通していただき、人情家である八柳さんの世界を感じて欲しいです。

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八柳鐵郎著書その3「すすきの有影灯」

3冊目は「すすきの有影灯」です。

 

こちらの本は、著者がエッセイを書き始めたころの初期の作品で、著者の周りの人物が主役です。

著者が働いていたキャバレーのホステス、その周りにいるお客、その他大勢の人物が登場し、華やかな世界の裏側にある喜怒哀楽がありのまま語られています。

実際に見聞きしたことばかりの本当の話ばかりですので、その内容も非常にリアル感満載です。

 

エピソードの1つ1つに重みがあり、登場人物の波乱万丈な人生を垣間見ることができます。

一昔前の話ですが、ひしひしと伝わるものを感じました。

 

巻末には佐高信さんの解説が掲載されており、ここに出てきて精いっぱい生きる女たちに励まされる思いがするエッセイであると語っておりました。

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八柳鐵郎著書その4「すすきのの女(ひと)」

そして4冊目は「すすきのの女(ひと) 」です。

この本は「すすきのの女たち」というシリーズ3部作の最終作です。

本当は1作目から読みたかったのですが、入手できず、今の所読んだのはこの本だけです。

 

このエッセイは完全に第3者の立場に立って書かれた内容で、ほとんどは関係者から聞いた話で構成されております。

とても中身の濃い話ばかりでした。

 

全44話で構成されており、1つの話は4~5ページほどですが、すべての話が短編小説にしてもおかしくないぐらいの内容です。

ここに出てくる女たちは、若いころに貧しい生活をしたり、バブルがはじけ若くもない年齢、時には40を過ぎてからやむを得ず働いたりと、苦労をしながら働たらいたりと訳ありの人が多いです。

その後は幸せに暮らしている者もいれば、身を崩して悲惨な末路を辿った女性も少なくありません。

そのようなストーリーを余すことなく語られており、人生はなかなか一筋縄ではいかないものだと改めて感じました。

この本を読み終わるころには、内容はハードなので結構ぐったりしてしまいました。

1人1人の人生が凝縮して描かれており、中には重たい内容も少なくありません。

たまにはこういうエッセイやドキュメンタリーを読み、自分自身のことについて考えてみるのもよいかもしれません。

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以上、八柳鐡郎さんの著書を何冊か紹介しました。

八柳さんはすすきので働いている間、本当に数多くの出来事に携わり、時には身銭を切って人を守ったり、時には心を鬼にして叱咤したりと、誰よりもすすきのを愛した方です。

そんな喜怒哀楽が詰まった出来事をまとめ、数多くの著書を出し、高い評価を得ておられます。

その文章は淡々と語りかけているなかにも、とても愛情が感じられます。

 

すでに八柳さんは故人となられておりますが、遺された著書の数々は、すすきのの歴史が詰まっており、貴重な資料としても価値が高いと思われます。

また、時間ができたら、まだ読めてない八柳さんの著書を読んでみたいです。